ラブコメ固め鑑賞でアニメ疲れ中だが、これは仕掛かりだったので最後までみた。・
Netflix独占配信アニメには薄い作品が多い気がしている。
浅いとか深いとかではなく「薄い」。
何かに気を使っているかのような、行儀良く「ご提供されている」ような感じ。
基本的に前評判は良いが当てにならない(ダイマというやつだろう)。このアニメもちょっと身構えての鑑賞。
結論を先に書く。悪くなかった。
いい意味でモヤモヤが残る。良質なアニメだったと思う。
主人公は気の弱い平凡な男子高校一年生の柊(ひいらぎ)君。
町でバスに乗り損ねる美少女(ツムギ)を助けて、何となく親しくなる。ツムギは実は鬼の娘である。
ツムギは母を探しに人間の世界にやってきた。柊君がその手伝いをしようと心を決める。そして二人の冒険が始まる。
強いて言えばボーイミーツガールからのロードムービーからの異世界もの?だけど、どっちもコテコテ類型ではない。
異世界美少女と気の弱い男子高校生の冒険。鉄板プロットである。
序盤。掴みは悪くない。
話もわりと高速に展開する。しかし、なぜか引き込まれない。
中盤。相変わらずちょっとした違和感がある。リアルな大人が出てこない。出てくるのは子供目線の優しくてちょっと変わった大人たち。子供二人の家出からの大冒険なのに、基本的にまったり都合よく進行する。
なるほど。これは子供に向けて作ったアニメだ、と気がつく。大人を納得させようなどとは最初から思ってない。ならば、とモードを切り替え子どもの視点で見る。
この辺から物語に入れるようになった。
さらに気がつく。
この映画は宮崎駿(特に「千と千尋」「ラピュタ」)へのオマージュであった。
旅館のシーンで気がつくべきだった。「ここで働かせてください!」だったのだ。
そして、ツムギはシータで、柊はパズーだった(いやこれは苦しいか)。
そんな感じで脳内で比較しながら見たら結構楽しめたので、苦しいながらも悪くない置き換えだとは思う。
どうして誰も「ラピュタ」のような爽やかな冒険アニメを作らないのだろう?と前から不思議だったけど、ちゃんと作ろうとしている人がいると分かった。それだけでも暖かい気持ちになれる。
ラストは私見では完全に破綻している。「よろしく察してくださいお願いします」という一念で描きたいシーンをてんこ盛りにしてある感じで、これに文句をつけたいならそもそもアニメを見るべきではない。
以上でした。