sakanatonikuの日記

料理、アニメ、映画鑑賞と作詞作曲(趣味)

恋愛アニメ考

いい年ぶっこいて、何が『恋愛アニメ考』だ、という話ではある。

 

地球温暖化とか少子化問題とか、他にいくらでも考えるべきことがあるだろうが。いい年して何?恋愛アニメだと?天下国家のことを考えたらどうだ(怒

 

あ、大丈夫でーす。

そんなこと考えても楽しくないじゃないですか。

 

最近視聴するアニメが恋愛系メインになっていて、自分でも「アラフィフになって、なんでまた。今さら」などと考えてしまったので、なんとなく書いておく。

 

 

「恋愛アニメ」。大人がまじめに取り組む対象とは思えないかもしれない。

しかし、古くから恋愛は芸術作品の主要なテーマである。思いつくまま挙げてみる。

 

ゲーテ「若きウェルテルの悩み」

スタンダールパルムの僧院」「赤と黒

フロベールボヴァリー夫人

トルストイアンナ・カレーニナ

ドストエフスキー「白痴」

ミラン・クンデラ「不滅」

村上春樹ノルウェイの森」その他、などなど。

確かに能天気なラブコメは一つもないけれど、全て男女関係が主要なテーマだ。小説、しかも僕一人の読書記憶に限ってもこれだけ挙がる。他にいくらでもあるだろう。

 

アニメ・漫画が必然的に文学より劣る。はずはない。最近は「文学」顔負けの漫画がある。とはいえ、重厚な漫画がアニメ化されることは珍しいだろう。どうしても少年少女、せいぜい20代向けに寄ってくるとは思うけど。

 

 

小説の場合「傑作恋愛小説」などと売り込まれていても、少なくとも僕が手に取ろうと思えた作品で、シンプル恋愛モノはほとんどない。読んでみたら確かに恋愛が主要なテーマの一つではあったが、そればかりではない。というケースが多い。

 

ところがアニメ、漫画の場合は「これは中高校生の恋愛が主要なテーマです。ラブコメです」と明快だ。内容もシンプルで、大人になると「いまさら」と思ってしまう。わざわざ手をだそうとは思わない。

 

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30を過ぎたあたりで、20代の若者(男女問わず)から相手にされなくなった。

結婚してたし、子供もいる。当然である。

もはや、若者ではない。と徐々に気がつく。(自らのおっさん化に気がつくのはさらに先だ!)

テンションの高い女子高生や垢抜けない男子高校生を見かけると、別世界の人間に見える。だんだん、紋切りの言葉が頭に響き始める。

おれの青春は、終わった」(終わった・・・終わった・・・終わった・・・)

 


青春が終わったとしても、仕事と家族の用事は忙しい。

 

仕事と家族以外に関心を向ける余裕も時間もない。どんどんフィクションから離れていく。プリキュアドラえもん、ディズニーあたりは子供と見にいった。どれもそれなりによくできていて面白いけれど、僕がハマるわけではない。(「君の名は」「ベイマックス」にはやられたけど)

 

かくして僕の人生における虚構・フィクションの空白時代が続く。そんなもの(失礼!)見るヒマがあったら仕事の勉強をしたり人文・歴史など重厚な本を読んだりしたほうがいい。

 

そのうちにアラフィフになり、子供が成人した。

これから人生、何を楽しむのか?という状況でフィクションを排除するのは、大きな損失ではないのか?

というわけでアニメや映画を積極的に見るようになった。「くだらない」は封印して「よかった探し」しながらいろいろと手を出す。

 

 

バトルエスカレーションや暴力・残虐シーンに疲れたり「この展開はあんまりだろ」な無理筋アニメを一旦保留したり、とザッピングしているうちに、恋愛ものにも手が出る。そして一口に「恋愛もの」といっても色々あることが分かる。

冴えない僕が学園一の美少女にモテまくる話ばかりではない(多すぎるくらいではあるものの)。

仮にそういう話であっても、意外とうまく作ってある作品もある。

結構趣向を凝らしているのもある。

気がついたらラブコメやボーイミーツガールアニメの方を好んで追っている。

おっさんが今さら、なるほど。とかこれは一味違うね。などと、なんの屈託もなく、他愛もない恋愛アニメをニヤニヤみているわけ。

 

意識が変わったようだ。

 

一つは、自分の子供が憧れたかもしれない青春、送ったかもしれない青春を辿っているのかもしれない。子を見る親の視点で、恋愛アニメを見ているのかもしれない。

 

もう一つは、青春が終わってから一巡したからか(意味が分からないけど)、また自然に若い頃を思い出せるようになったからかもしれない。中学高校の頃に、例えば「メゾン一刻」とか?をもどかしく読んでいた感覚を思い出しながら、楽しんでいるのかもしれない。

 

言ってみれば二重の観点ができたわけだ。

 

 

考えてみれば、村上春樹は最新作「街とその不確かな壁」で中学生の恋愛を描いている。

 

川端康成も「山の音」で老境の主人公に若い頃の初恋を想起させている。

 

人生は円環を描く、と書いたのはミラン・クンデラである。年をとると、また別の青春があるとかなんとか、そんなアレだったかしらん(詳細は覚えてない

 

アラフィフになってから少年少女向けの恋愛アニメが面白いのも、あながち変な話ではないのだろう。多分。