sakanatonikuの日記

料理、アニメ、映画鑑賞と作詞作曲(趣味)

聖地巡礼(七尾市 君ソム)その1 到着、散歩、小島橋 バス停など

君は放課後インソムニア(君ソム)」というアニメにどハマりしたのが3ヶ月前。原作を全て新刊でそろえて、さらにハマった。1ヶ月ほどかけてゆっくり読みながら、舞台となった七尾市に行ってみようと心に決めた。いわゆる「聖地巡礼」である。

 

アラフィフのおっさんが、今年からアニメ・マンガにハマり、聖地巡礼する。いいスピード感じゃないか。何より、こんな馬鹿馬鹿しいこと(けなしてない)、歳を取ればとるほどやりにくい気がする。行くなら早い方がいい。

 

 

調べてみたら情報が豊富にある。

 

アニメの「聖地巡礼」は観光客を呼ぶ有効なコンテンツらしく、地元とのタイアップや、地元公式情報も多い。「実際に行ってみた」ブログも結構ある。「コピペして作った?」みたいな薄いブログも多いけれど、中には「よくもまあ、そこまで回ったな」と感心する濃密なブログもある。

 

おそらくは震災の影響だろう。公式の発信はほぼ止まっていて、一抹の不安はある。でも電車は運行しているようだし、飲食店もそれなりにオープンしているようだ。何もできない・回れない、ということはなかろう。とGoogleマップに目的地のピンを置いていく。これがなかなか楽しい。どう回ろうか。どこで何を食べようか。などといろんなパターンを考える。

 

それにしても、東京からとにかく遠い七尾市である。

 

人生初の聖地巡礼とはいえ、おもわず二の足を踏む距離と交通費だ。帰省と絡めれば何とかなるか。というか、絡めるしかない。震災後の七尾市の様子もこの目で見たい。帰省の翌日にプラス一泊、1名さまで七尾市駅前のビジホを予約した。

 

いざ日程が近づくと、1ヶ月前の熱は結構冷めてほぼ平熱になっていた。マップに立てたピンを確認するのも億劫だ。最終的には、キャンセルするくらいなら行くか。くらいの熱量に落ち着いていた。

 

 

帰省の最終日、家族と別れて金沢方面の電車に乗る。

ついさっきまでワイワイ賑やかに旅行していたのがいきなりの一人旅で、これはなかなか寂しい。

 

「家族揃って帰省できるのも、あと何年だろう」

「妻とは興味エリアが異なるから、二人で旅行というのも少ないだろう」

「今さら友だち作るのも面倒だ」

「これからは一人旅がメインか」

「人生もそんなもんだ。死ぬ時は結局一人だ(鬱」

 

などとどんどん思考が暗くなる中「オレは聖地巡礼に行くのだ」という目的には救われた。見知らぬ土地への「聖地巡礼」など酔狂じゃないか。せっかくだから楽しもう、と気持ちを一人旅モードに切り替える。

 

 

電車には夏休み中の中高生が多い。

男子もいるが元気なのは女子である。

 

楽しそうに話をしている女子グループがいる。

僕の横で女子高生がベラベラと悪口だの冗談を喋っている。話の内容は人間関係ばかり。大人女子と大して変わらない。

鷹揚に座席に座り、うとうとしながら時折周囲を睥睨する女子もいる。

 

登山電車でも都心を走る電車でも元気なのはおばさんたちである。

今の元気な女子中高生が歳を重ねて、いずれ元気なおばさんになる。ちゃんとつながっているのだ。

 

中高生が大勢いるのはもちろん、元気なのは何よりである。いいことだ。と力をもらう。

 

 

金沢に到着。高岡も田舎だが、金沢まで40分はなかなかのメリットか。西武池袋線で言えば入間市あたりに相当するのか。とはいえ池袋みたいにちょっと歩けばなんでも用事が済む、というわけにもいくまい。田舎は車社会だしな。などと考える。

 

七尾市までは特急を選んだ。鈍行より40分ほど早く着く。予定表などないようなものだから、時間は多めに確保したかった。

 

 

平日の一人旅は、自由席で問題なし。

 

能登半島を北上する。敷浪駅を過ぎたあたりから屋根が妙に綺麗で、黒々していることに気が付く。

瓦が黒々していたのは、葺き直したからだ。

 

ブルーシートをてっぺんに貼った家も多い。

上の屋根瓦だけ足りてないのか?そんなことがあるのか。

 

 

たまに傾いた家や、潰れた家も見る。

 

モンベルの倉庫?だか工場?だかがあった。

 


ひたすら田んぼが広がり、遠くには丘が見える。海は見えなかった。能登半島の西側は電車から見えておかしくはない距離と思う。防風林のせいか。

 

素敵な風景だが、震災の爪あと(=屋根のブルーシートや傾いた家)がちらほらと見えた。

 

 

七尾市に到着。

 

 

高岡駅の規模を6、7掛けしたような雰囲気だと思った。

ちなみに、高岡の商店街は広いは広いが、イオンに滅ぼされて今やシャッター街だ。若い人たちが少しずつ面白い店を立ち上げていて頼もしいけれど、まだまだである。

 

 

こぢんまりした北陸の地方都市。なんだかしっくり来た。

 

わりと大きめのロータリーと商業施設。

写真から切れてる左には、ドンキとニトリが入ったビルもある。

 

駅でGoogleマップを確認する。

事前に立てたピンのルートを検索すると、意外と徒歩で聖地を回れそうだ。

 

気温は確か33度。海が近くて蒸し暑い。フェーン現象富山平野より2、3度低いが、歩くのはきつかった。しかし、歩けないほどではない。

 

まずは聖地「中央茶楼」へ向かってみる。

 

途中の橋にもGoogleマップにピンが立っていたので撮影した。これも聖地の一つ。

 

ところどころ、道路が波打っていた。

 

潰れた家も。

 

上の潰れた家と車に近づいて撮影したのだが、胸ふたぐ写真になった。掲載はしない。

 

目的地は閉まっていた。

Google上は「営業中」になってるんだけどね。

 

駅前商業施設で営業しているらしい。金土日ならアウトだ。

 

壁の一部が落ちている。室内も相当ダメージを受けたのだろうか。

 

Googleマップの営業時間を信用してはいけない。

と思うのは何度目か。

 

営業してますか?って電話で確認するのはなんだか申し訳なくて、面倒くさいんだよね。お店の人はそこまで気にしてないんだろうけど。

行って営業してたらラッキー。やってなかったら残念!だ。それでいいじゃないか。と思う。

 

張り紙にあった屋台村に行って場所を確認。

 

オジロマコト氏の痕跡を発見。(上の写真中央左上の白いシート

寡聞にして加納梨衣氏は存じ上げない。

 

他にコーヒーを飲める場所を探して喫茶店へ。

 

こぢんまりした駅前は都合がよい。

 

ホテルや旅館のよく分からない飲み放題コーヒーに飽きて、まともなコーヒーが飲みたかったのに、一杯320円で大丈夫かと思ったら、軽くてもコクと香りのある、ちゃんと美味しいコーヒーだった。東京の個人喫茶店だったら450円は下るまい。

 

コーヒーを飲みながら作戦を練る。

 

ここの”金沢カレー”が800円を切っている。東京の喫茶店ならありえない値段だ。コーヒーの味からすれば価格がバグっている可能性がある。意外と美味しいかも。と迷っていたら斜め前でおばさんがタバコを吸い出した。ここでのランチは諦めた。

 

蒸し暑いなか、能登食祭市場へ向かう。

 

水道管が破損しているのか、建物の前の車止め?あたりに水が溢れていた。

(手前の道路が濡れているのは降ったり止んだりの雨のせいである)

 

1階は入れなかった。

2階も手前まで。

営業しているのはラーメン屋と洋食屋。

 

観光客向けじゃないね。

 

12:00ちょっと前は貸切状態。この後ポツポツとお客さんが入ってきた。

机の間隔がスカスカに見えるのは超広角レンズのせいではなく、実際に広々しているから。

 

頼んだのは能登ブランドポークのカツカレー。

 

衣さくさくで美味しい。満足度は高かった。

 

せっかくなので海を見ようと思ったら立ち入り禁止だった。

 

次の聖地に向かう。

 

側溝の方が凹んでいる(あるいは車道側が盛り上がったか)。うっかりすると危ない段差である。

 

この辺の路地はすごく懐かしいと思った。子供の頃、じいちゃんの家の近所がこんなだったかしらん。

そういえば道路に融雪装置がない。能登はそこまで降らないのか。あるいは予算の関係か。

 

黄色い紙は「要注意」。ちらほらと赤い紙「危険」もあった。

 

要注意ってなんだ。人は住めまい。

手が回らないから、張り紙貼って注意喚起するしかない、ということか。

 

完全に崩れた家も残っている。

 

もちろん、外から見ると何ごともないような家もあるし、人が住んでいる様子の家も多い。こういう家ばかりではない。

 

しかし復興がどんどん進んでいる、という感じはしなかった。

 

次の聖地。

 

小島橋 バス停。

 

知らない人からすると「なんのこっちゃ」だが、僕はシビれた。

実にいい場所である。

 

中見丸太と曲伊咲が夜のお出かけをして立ち寄ったり、観測会が中止になって絶望した丸太が逃げ込んだり、二人が不純異性交遊をする場所である(嘘)。

 

純朴な高校生がこっそり相引きしそうな、ちょっと怪しげで孤立した雰囲気が最高だ。

 

オジロマコト氏もこのバス停を見て、何話か思いついたに違いない。「あそこにお互い好意を持っている男女の高校生を配置したら?」などと想像力を刺激する場所である。

 

いやあ、満足だ。と思いながら歩いているとラッピングバスに遭遇。

 

慌ててGRで撮影した。GRはやっぱ便利だよ。撮影まで1秒かからないし、手元を見なくても撮れる。

 

 

どこか侘しいバス停を熱心に撮影しながら、心の奥で微かに「オレ、七尾くんだりまで何してんだろ?」という疑問に気がついていたのだが、ラッピングバスを見て励まされた。七尾市推奨なのだ。ウェルカムなのだ。これでいいのだ。

 

(続く)