(承前)
ポケモンコラボ中らしく、乗車するための行列ができた便も見かけた。
西岸は、マンガの序盤、流星群観測会のポスターが貼ってある場所。
それから中盤の合宿のシーンにも最寄駅として出ている。
のと鉄道にも乗ってみたかった。
時刻表はまばらで、ダイヤによっては片道30分以上かかる。七尾に早く着いたのと、駅周辺を思ったよりいろいろ回れたので、余裕をもって訪問できた。
幸いポケモンラッピング電車ではなく君ソムラッピング電車だった。
現場では『君ソムラッピング電車とは運がいい。何気に乗れたということは、そんなにレアじゃないのかな。いずれにせよありがたいことだ』くらいに思っていた。
しかし実際のところ、かなりラッキーだったようだ。どうやらラッピング車両はこの一台だけ。今Webで調べても運行情報がない。確実に乗りたいなら駅に問い合わせるくらいしないとダメかもしれない。たまたま乗れたのは実に幸運だった。
「ラッキーラッキー」と車両を撮影しまくるアラフィフおっさんである。
怪しいよなあ。
今見ると色も褪せてないし、掃除も行き届いている。ありがたいことだ。
車内にもいろいろ貼ってある。
七尾市の女子高生は撮影しながら歩くおっさんをチラッと見て「しょうがねえなあ」という感じで無視していた気がする。
一通り撮影して、進行方向の左側が撮影できてないと気が付く。
西岸で撮影できればよいのだが。
再び幸運なことに、西岸駅は七尾駅の反対の山側が降車ホームで、裏側を撮影できた。
雨がポツポツ降る中、発車するアニメラッピング電車を一生懸命撮影するおっさんである。
酔狂な話だ。
こんなバカなこと何歳までやれるだろう。いや、何歳だってやればいいんだけどさ。
それにしても、アラフォー以降はどうあがいても微妙だろうな。などと客観的に考えてしまう。
反対のホームに駅舎が見えたので、線路を渡る。
雰囲気のある駅舎だ。
中はいかにもな聖地。
といっても君ソムではなく「花咲くいろは」という温泉おかみ?系のアニメが主役だ。
ここがマンガに出てきた場所である。
正面の本棚左上に君ソムが全巻揃っている。
「花咲くいろは」の存在感が強い。
訪問ノートも「花咲くいろは」の数が多い気がした。
今年に入ってからの君ソムノートは新しく、件数はぼちぼち(多い少ないの基準が不明)。記念に一行書いておいた。
駅舎が暑いので外に出る。
道を渡って周囲を撮影。左奥が駅舎である。周囲には何もない。
駅の前の道路は、建築関係のトラックが頻繁に通る。
うっかりとは渡れないくらいだ。
駅から海は近い。50mほどでつく。
綺麗な海だ。船着場。実用的な海。ちゃぷちゃぷ遊ぶ場所ではない。
海辺に喫茶店があった。コーヒーを飲みながら、海を眺めて時間を潰すのも魅力的だが、もうコーヒーは1日分飲んだので残念ながら見送り。
やることがないので駅舎に戻る。
この写真は駅舎から撮影したもの。向かいの郵便局も右の酒屋もダメージを受けている。
駅舎には冷房がなく、とても蒸し暑い。
ちなみにトイレは「(僕が訪問した日付)から使えます」とあった。リフォームしたのだろう。
黄色と黒の棒をまたいで中に入ってみると、電気は自動で点灯、洗面所の水も流れた。ありがたく使わせていただいた。他に選択肢がなかったので本当に助かった。ちなみに僕が最初ではなかったっぽい。(上の写真の右奥がトイレ。電気が点灯している)
駅舎の湿度と暑さで落ち着かないのでホームに出る。
電車の到着まであと20分ほどある。やることがない。とホームで佇んでいたら、夫婦2組らしき四人連れが現れた。
1組はおそらく僕と同じ世代。
1組はアラフォーくらい?の夫婦。義理の兄弟だか姉妹の夫婦ペアだろうか。
アラフォーの男性が僕のOMD EM1 Mk2 を見て「電車の撮影ですか?」と聞いてきた。「違います(ニッコリ」と答える。会話終了。
アニメの聖地巡りとも答えにくい。君ソムをご存知の雰囲気ではない(直感的にわかる)。会話をつなげるには質問を返すのが定石だが、僕がボールを投げるのを待ち受けている雰囲気でもない。
ホームに謎の看板があった。
「これ、何でしょう?ここ西岸ですよね?」
「僕も知らないです。後でググろうと思ってたんですよ」
会話終わり。
若い男性の方は時おり僕にネタを投げては去っていく。残りの男女3人は僕から距離を置いている。若い彼もあるライン以上は踏み込んではこない。会話が進む雰囲気ではない。
つれあいと駅舎をチェックしたり、ググったりしたらしい若い男性が、僕に
「『花咲くいろは』っていうマンガの架空の駅名らしいですよ。ここがモデルなんですって。イベントで作ったとか」
と教えてくれた。
「ほう!そうなんですね!」
と返して会話おしまい。
それにしても、彼らもこんなところまで何しに来たんだろう。親戚の家でもあるんだろうか。でも北陸訛りじゃなく、関西訛りだったよな。カメラは持ってなかったし、スマホで撮りまくってる様子もなし。謎である。
先方も「あのオッサン、撮り鉄じゃないとしたら何しに来たんや?」と不審に思ってるに違いないけれど。
ようやく電車到着。ポケモン電車上等である。
座席は埋まっていたけど、そこまで混雑しているわけではなく、十分なパーソナルスペースを確保できた。
ちなみに上の写真の”やぐら”は、ラッピング電車に唯一組み込めた能登の意匠だそうだ。おそらくはポケモンブランドイメージのため、自由に描かせてくれないんだろうね。
ポケモン電車はテンションの高いちびっ子たちばかりでとても微笑ましかった。
そういう意味ではポケモン電車に乗れたのもラッキーであった。
(続く)