妻が山好きである。
付き合い始めた頃、物珍しさもあって何度か妻の登山に同行してみた。
結論は「山の何が楽しいのか、全く理解できない」。
わざわざ遠くまで電車とバスに乗って、山に入ってもひたすら歩いて登るだけじゃないか。高いところに登ったら遠くまで見渡せるから、それがどうした。山と木が見えるばかりだ。疲れるだけだ。
以来、僕は山に入ることはなかった。
そして4半世紀。(やれやれ)
10km散歩を始めて分かった。
それなりに負荷の高い運動をしないと、体力が衰えていく年齢になってしまった、と。
10kmはちょうどよい負荷だと感じる。毎週、このくらいは歩こう。
しかし晩春(という言葉もじきになくなるだろうな)にもなれば、東京を10km歩くのは熱中症ウェルカムの自殺行為になるだろう。運動不足待ったなし。
困っていたら「山なら歩けるわよ」と妻から提案があった。
そうか。ここで、山なのか。
山では僕より二回りも上の爺様婆様がガンガン登っていると聞く。年を取ってもチャレンジできるのが山なのか。
妻に山再入門のレクチャーを受け、まずはモンベルで靴を買ってみた。
うーむ。かっこいい。
「モンベルはダサい」という風潮があった。おっさんだろうが若者だろうが、モンベル着てる人みてダサいなんて思ったことはない。最近のモンベルは普通にかっこいい。一律「ダサい」レッテル貼りはありえない。
ちなみにパンツはワークマンである。
新調したシューズでいきなりトレッキングは無謀である。
まずは近場で様子をみる。遭難の危険がないトトロの森を目指した。
西武球場前。
女の子が群がっていた。子供と同世代から年下だ。この歳になるとティーンエイジャー女子の群れの中にいても全くテンションは上がらない。お父さんの視点である。(結構結構。人生は楽しむのが一番)と思いながら、「無害なトレッキングおじさん」オーラを出しながらすり抜ける。
SKZのうちわが見えた。ああ、スキゾ?ね。韓流のアレ。知ってる知ってる。
そんなことよりライオンズだ。最下位だぜ。点が取れないんだよなあ。
普通に道路を歩く。
狭山湖。
いいところなんだけどね。
横目で通過するだけの湖だ。観光資源にする必要がないんだろう。
狭山湖の向かいの所沢方面。
トトロの森1号地は近いはず。
トトロの森に通じるような、それらしき道はない。
Googleマップのそのあたりを、ぐるっと回ってみる。
民家の庭?とか私道?っぽいので踏み込めない。
前に輪行で来た時も、結局1号地は分からなかった気がする。
よし。手がかり発見。
でも、まず見えるのは3号地だった。
風景は悪くない。
でも、あまりテンションは上がらない。
やっぱり山は向いてないのかも、と思う。
おたまじゃくしがいっぱい。夏はカエルの声がうるさかろう。
1号地への案内発見。
とうとう発見。
ちょっとわかりにくいところにあります。
なかなか険しい階段。
手入れのためチェーンソーの音が響き渡る。仕方ない。
虫がメガネの周りを飛び回るので小枝で払う。
そこそこ効果あり。
いい感じの道だけど、心踊らず。チェーンソーの音が聞こえる。
何もない住宅街歩くのと同じか、あるいは少しマシくらいの楽しさか。
この辺りでかかとに靴擦れと、足裏に痛みの気配。
楽な歩き方を模索してみる。
32号地に遭遇。
ただし立ち入り不可。
足の違和感と相談してこの辺で撤収。
簡潔に言えば、「トトロの森」は小手指・所沢周辺の雑木林を保存するための活動の方便であって、観光地でもないしこれを利用した商用施設もない。その活動は素晴らしいし、僕も機会があれば寄付しようと思う。でも、期待して巡るようなものでもない。
だからだろう。日曜の昼でも人は少ない。「都立の公園」などとは違うギリギリメンテのほぼ手付かずの自然が残っている。なんなら「一人で歩くのはちょっと怖い」くらいの感覚もある。決して人間を拒んでいるわけではないけれど、単純に穏やかで心地のよい空間ではない、こんなところにこそ、トトロたちがひっそりと暮らしているんだな、なんて想像を膨らましておくのがよさそうだ。
なんて考えながら帰途につく。
靴に関しては、歩き方を工夫したら痛みは止まった。過信しないように注意だ。
小手指「パンとお菓子 みかんの木」さんで購入したシュークリーム。卵の味のするカスタードクリームで癒される。
やっぱり長距離散歩にスイーツは最高。
ビールよりもこっちだな。
ピクミンブルームでは16,000歩と出た。本当かどうかはともかく、一つの目安ではある。
さ、次は軽いハイキングに行ってみよう。