怪獣パニック映画にはほとんど関心がなかった。(シン・ゴジラは面白かったが、あれはまあ庵野監督だから)
どうせ、あの、ゴジラが出てきて東京を破壊するんだろ?口から出すんだろ?あれを。放射能的な。
登場人物も神木隆之介や浜辺美波など(敬称略)、テレビドラマや軽い邦画で見る面々。積極的に見ようとは思えなかった。ちょっと二の足を踏んでいたところに、ぽつんと半日時間が空いて、勢いで見に行った。
いやあ、よかったですよ。これは。めちゃくちゃよかった。
これほど感動した映画は久しぶりだ。宮崎駿があるべき映画の姿としてしばしば語る「入口よりも出口が少しだけ高い映画」であった。見た後に世界が少しだけ別のものに見える映画である。ただ単に感動する映画は珍しくないが、この映画はそれを軽く超えてきた。
まずはバランスがよかった。例えばアニメを見ていると「その展開は都合が良すぎるわ」とか「いやいや、そこは違うだろ」とか、少なからず展開にストレスを覚えたりするわけだが、この映画はそういうことがなかった。痒いところに手が届く。でもわざとらしくない。「そうこなくっちゃ!」という流れなのに「予想通りだった」とは思わせない。エンタメとして非常にバランスの取れた展開である。
同じく、怪獣パニック映画と太平洋戦争後の人間ドラマのバランスがよかった。難しいテーマなはずだが、俳優陣の力量だろう。あの戦争に落とし前がついてない、そんな葛藤が吉岡秀隆や佐々木蔵之介や青木崇高から伝わってきた。
それからなんといっても神木くんが良かった。演技も良かった。マッチョではないのに骨太なキャラであった。筋が通っていた。葛藤の描き方が良い。安易に「それでOK!生きてOK!」などど肯定されないところも良い。どう落とし前をつけるのだ?と思わせておいて、確かにそこしかない!という着地である。
本当に、いい映画だった。