いわゆる徒歩圏内というのは1kmちょいだろう。2kmなら自転車かバス。暇つぶしの散歩、歩くことが目的となれば3〜5kmあたりだろうか。上野から秋葉原。大手町から有楽町。池袋、新宿をぐるっと。5km以上の移動にはバスか電車を使う。
この間、試しに吉祥寺まで歩いてみた。往復で6km以上。嫌になったら帰りはバスという保険もある。往路3kmほど歩いて問題なし。ランチして自分の土産に「紀土」純米吟醸を買った。余力は十分である。徒歩で帰ってみる。
すると途中で小の方を催してしまった。ランチに頂いた半合の〆張鶴が効いたのか。急いで最寄りのコンビニに引き返してみたらトイレ利用不可。なんと。焦ってGoogleマップでトイレ付き公園を探すが周囲にない。マジか。結局かなり我慢しながら1km以上歩いて、何とかトイレにたどり着けた。危なかった。
都市散歩においてもトイレが鍵なのだ。山と同じだ。といっても山なら茂みで用を足せる。東京でその辺に引っ掛けたら犯罪である。長距離散歩においてはトイレの位置は前もって把握すべきと分かった。
事前にGoogleマップでトイレポイントをチェックし、次は10km目標にチャレンジしてみた。もちろんカメラを持って。池袋から大手町に歩いたり、新宿から品川を目指したり。意外と歩けるものだ。
10km歩くぞ、という尺度で東京の地図を見ると、意外と遠くまでいける。東京って広いようで狭いんだな、と思う。しかし西の練馬から東の葛飾となると今の僕の足で歩ける距離ではない。やっぱり、まあ、広いか。と考え直したり。
そして東京23区にはトイレ付きの公園が多いと気がつく。昔、子供を連れて公園に通った時はそれが当たり前と思っていた。そうではないのだ。素晴らしいことである。防災とも関係あるのだろうか。改めて感謝である。
この間は練馬から池袋まで、遠回りして歩いたら、膝と股関節に違和感が出た。痛みが出ると大変だ(経験あり)。耐えてくれよとヒヤヒヤしながらなんとか池袋に到着。調べたら15kmほど歩いていた。大したものだ。翌日も大したダメージが出なかった。めでたい。
15km程度の散歩で身の危険を感じている僕がいて、フルマラソン走る人がいる。みんなちがってみんないい。僕がフルマラソンにチャレンジしたら、関節なり心肺機能なりが確実に損なわれるだろう。
散歩は楽しい。
スタートはいつもの近所である。この辺を歩いても面白くない。
面白くないから、今週あった不愉快なことを思い出して、イライラしながら歩く
「あいつ情けないこと言いやがって」カリカリ
「あれでプロとは言えんだろ」イライラ
どんどんリズムに乗って軽快に歩く。だんだん心が穏やかになってくる。
「まあ、あいつも上司に苦労してるよな」
「あいつんとこ、人と金がないんだよな」
「許す。」
機嫌が良くなる。先週のよかった点も思い出す。
「あの時のオレの発言、悪くなかった」
「あの仕事は我ながらよかったよね」
5kmほど歩くと先週の総括は完了して心穏やかである。
6kmに入ると「これからのオレの人生どうだ」などと考えだす。
ずんずんと歩きながら人生を考えると「負けじ魂」が湧いてくる。「まだしばらく、オレは生きなきゃならないんだ!」と本気で思う。
一人家にこもって、自分の心臓の鼓動を聞きながら人生を考えたりすると、ろくな結論にならない。人生を考えるなら、少し体を追い込む程度の散歩中が良いようだ。
7、8kmも歩けばいい感じに疲労して、結構ハイになる。
昔ウケた冗談を思い出してニヤニヤ。
今度、こんな冗談飛ばしたらウケるだろうか。とニヤニヤ。
ニヤニヤ歩く怪しいおっさんである。
まあ、それが散歩の醍醐味なのだろう。
帰宅して、飯がうまい。酒がうまい。睡眠の質も良い。体にも精神も良いのである。
老化防止、ボケ防止にも歩くのが良いのは当然なのだ。(いや、まだそんな歳じゃないか。とはいえ。