sakanatonikuの日記

料理、アニメ、映画鑑賞と作詞作曲(趣味)

焼肉食べ放題で上タン50人前?

タイトルは〈はてブ〉で炎上気味の件である。

焼肉食べ放題の店に入って上タン50人前頼んだら怒られたのでムカついたとかなんとか。

仲間内のネタだろう。読むのは時間の無駄だ。

 

SNSに放流されるべきものではない。最近はキレ芸やイチャモン芸は流行らない。

ひょっとしたら炎上を狙っている可能性もある。なおさら無視すべきだ。

 

とはいえ、当該ネタが目に入ってしまった。

そして、ああ、こういう奴が友達にいたなあ、と思い出した。

 

懐かしい。

 

 

「んなもん当たり前だろww 店だって困るわww」

「だって『食べ放題』っていうんだからさ。そのくらい想定しとけって話だろ?」

「上タンだけ50人前みたいな客想定してたらキリないじゃんww。事前に打診しないとダメだろ」

「打診なんかしないよ。何のための『食べ放題』だよ!」

「ピンポイントで大量に上タン仕入れるの難しいんじゃねーの?しらんけど」

「そんなの店の都合であって客は関係ないだろ!」

(あーめんどくせえ。話変えよ)「ところでさあ。新しいPC買おうと思ってんだけどさあ」

「今はMacのXXXがすごよ!君買いなよ!」

「いや、Macなんか買わねーしww(当時はね」

 

みたいな。

面倒くさそう男だが、実は僕よりずっと常識人で、普段は僕の(天然)ボケや空気読まない発言へのツッコミ・フォロー側である。こういう「vs 商売人」とか「vs 集団」の構図で変にヒートアップしていた。

 

当人もネタとして盛っているのだろうが、何だか根本的に感性の違いは感じられた。めんどくせーと同時に面白いと思ったものだ。

 

 

そういう時の彼が考えていたのは、おそらく以下のようなことだ。

 

店は客を騙してでも儲けようとしてくる。騙されてはならない。値切っても何でも、めいいっぱい先方の利益を低くすべき。さもないとこちらの《負け》である。

何なら相手に損をさせるべき。相手が損ならこちらは儲けである。
そういう取引ができればこちらの《勝ち》だ。

譲歩は《負け》である。
自分の権利は当然に主張する。何なら気に入らないルールは否定する。それを呑ませてこそ《勝ち》である。

 

うわ。面倒くせえ。

 

念の為繰り返す。いいやつで友達も僕より多かった。上記の「キレ芸ネタ」はちゃんと相手を選んでいた。空気が読めるのだ。

 

 

彼がそのような思想に至った経緯は何となく想像がついた。

 

高校生の頃、友人としばしば秋葉原に通って家電やらMacやらPCパーツやらを眺めて過ごしたそうだ。

当時はもちろん kakaku.com など存在しない。「人件費ガン無視のマハーポーシャはやっぱやばい!」みたいな時代である。

値段の違いは足で調べたし、その数字を持って店員を冷やかしたり、交渉したりして過ごしたらしい。

少しでも高く買ったら負け。転じて「店からは絞り取れるだけ絞るべき」なメンタリティとゲーム感覚は、この時の体験からではないかと思う。

ちなみにオタクインキャではない。陽キャ寄りで彼女もいた。ピアスしていた(そしてそれを後悔していた)。見た目は少しキリッとした岡崎体育であった。

 

 

僕なんかは「経営においては適正な利益を得る必要がある」「交渉においては多少の譲歩は必要である」という考え方である。

 

焼肉食べ放題に行ってノーアポで上タン50人前なんか注文しない。

もし本当にそれが食べたいなら事前に確認して、必要とあらば追加の(適正)コストを支払うだろう。

 

 

ちょっと理解し難い考え方をする人がいたとしたら、やっぱりそこには理由があるのだ。

 

僕の友人に関していえば、おそらくは価格を比較したり値段交渉して楽しんだ青春の記憶。そういった活動がアドリナリンを誘発する個人の傾向もあるだろう。

 

上司や顧客から日々理不尽に詰められている人なら「上タン50人前くらい対応しろ!オレもそんな感じのことを日々言われてるんだよ!」と思うのかもしれない。

 

「倫理の問題ではないし、空気を読んで遠慮する必要があるはずはない。『食べ放題』と称する店に入り金を支払う以上、要求する権利はあるのだ」と考える人にも、何か苦い経験と、おそらくは個人の傾向、その人なりの哲学があるのだろう。

 

もう一歩考察を進めると仮説を出せるような気がするものの、気が進まないのでやめておく。

 

 

上タン炎上で、久しぶりに友人を思い出した。

 

特定の事案に関してはやたら面倒くさくて、暑苦しい主張を展開していた。でも、基本的には人当たりがよくて面白い奴だった。

 

懐かしいな。

社会人になってからも1年に一度くらいは会ってた。当然ながらだんだん話すネタがなくなって、自然と疎遠になった。もう20年近く会ってない。

 

複数回の携帯乗り換え&アドレス帳整理で、携帯番号も消えた。

年賀状のやり取りも止まっている。彼らしく、僕らしいことだ。

 

今さら会っても、特に話すネタはないなあ。

学生〜社会人時代にあらゆるネタを話したからね。

 

もし彼が先に亡くなったら墓参りくらいして感謝を伝えたいとは思う。向こうもきっとそのくらいの感覚じゃないかな。

そういう友人関係である。